第9回集会は2027年国際腫瘍循環器サミットへのプレリュード――第9回日本腫瘍循環器学会学術集会の佐瀬一洋会長に聴く第9回集会は2027年国際腫瘍循環器サミットへのプレリュード――第9回日本腫瘍循環器学会学術集会の佐瀬一洋会長に聴く

日本腫瘍循環器学会第9回学術集会は2026年9月5日、6日の2日間にわたって順天堂大学本郷・お茶の水キャンパスを会場に開催される。当サイトの編集委員でもある会長の佐瀬一洋氏(順天堂大学大学院医学研究科臨床薬理学教授)に第9回学術集会の見どころを伺った。

日本腫瘍循環器学会学術集会も今年(2026年)で9回目となります。会長を務められる佐瀬先生として期するところがあると思いますが、それをお伺いに参りました。

佐瀬腫瘍循環器はがん医療の進歩に伴い顕在化した多彩な循環器疾患に対する新たな学際領域です。多職種がそれぞれの専門性を十分に発揮して、お互いに連携して、がん治療の不必要な中断や心疾患による不本意な中止を防ぐことを目的としています。がんやがん治療に伴う循環器疾患を拾い上げるというような後ろ向きの医学ではなく、がんの医療が新たなステージに到達したことを意味する、非常に前向きな学問と捉えるべきです。

日本は世界に先駆けて高齢化社会を迎え、必然的に多くの人々ががんに罹患します。見方を変えると多くの症例を経験することになり、この分野で新しい医学を構築し、世界に向けて最新の知見を発信し得る立場にいることを意味します。そうした視点に立って、学術集会のテーマを「JIN and the Art of Cardio-Oncology」としました。「JIN(仁)」とは他者を思いやる心を、「術(Art)」はfrom data to knowledge, from knowledge to wisdomへと知を高める営みを意味します

2009年と2011年にTBSで放映された医療ドラマ『JIN -仁-』の撮影の舞台はこの順天堂大学の本郷・お茶の水キャンパスでしたが、ここを拠点に腫瘍循環器の精神を世界に発信したいという思いも込めています。

それともう1つ、第9回学術集会には大事な役割があります。それは、2027年に東京で開催される国際腫瘍循環器サミット(GCOS2027@東京)への橋渡しということです。これはアジア太平洋地域で初めて開催されるGCOSです。GCOS2027@東京に向けて、研究を重ね、エビデンスを構築していく必要があり、第9回学術集会はその足掛かり、言い換えるとGCOS2027@東京に向けたプレリュードと位置付けることができます。

「Before」「During」「After」に基づいたプログラム構成

第9回学術集会が重要な節目となることが分かりました。プログラムを構成する上で注意されていることはありますか。

佐瀬国際的にはInternational Cardio-Oncology Society(IC-OS)を中心にBefore(治療前)、During(治療中)、After(治療後)というフェーズ概念に基づいた体系化が進んでいます。JACC: CardioOncology誌においてもGaps in Evidence総説三部作として整理されています。そこで、学術集会のプログラムにもこのBefore、During、Afterという国際標準を反映させたい、言い換えるとIC-OS/GCOSとの構造的連動を図ることを基本方針としました。その方針にしたがって、多職種やサバイバーの視点を明確化します。

単なる講演会のプログラムではなく、戦略を重ね合わせるということですね。

佐瀬国際標準を日本語に翻訳する作業です。そのために4本柱モデルを構築します。

I. Before Cancer Therapy(治療前)

  • リスク層別化、画像・バイオマーカー、基礎・トランスレーショナル研究

II. During Cancer Therapy(治療中)

  • CTR-CVT(心筋障害、免疫関連、血栓、不整脈、高血圧)、permissive cardiotoxicity、DDI(薬物相互作用)、サーベイランス
  • 意思決定モデル

III. After Cancer Therapy(治療後)

  • サバイバーシップ、AYA・小児、高齢者、リハビリテーション
  • Lifetimeサバイバーシップ

IV. Cross-cutting/International(横断・国際)

  • IC-OS/GCOS整合性チェック
  • 国際セッションの設計

日本腫瘍循環器学会学術集会も着実に成功しており、2025年の第8回大会では約650名が参加しました。第9回は患者・市民・行政・企業を含む多様なステークホルダーが集う、交流の場としたいと考えています。