クローン性造血を有する患者は、がん治療後に心疾患リスクが増加
英語オリジナル版はこちら遺伝子検査を受けたがん患者の約5例に1例は、血液中に「潜在性クローン性造血(CHIP)」と呼ばれる変異が偶然発見される。
Vanderbilt Healthの研究者らによると、CHIPにより、がん治療後の心臓病のリスクが増大することが明らかになった。
1月8日付のJAMA Oncology誌に掲載された研究結果は、がん治療前に患者をCHIPの検査にかけることで、心臓合併症をより厳重に監視できる可能性を示唆している。
CHIPは疾患ではなく状態であり、加齢に伴う血液幹細胞の変異を特徴とし、通常は無症状である。
研究者らは、Vanderbilt Healthのバイオレポジトリー「BioVU」を用いて電子健康記録と全ゲノムシーケンスデータを関連づけることで、CHIPを有する患者を特定した。
研究者らは、CHIPを有する患者の心血管健康アウトカムを、同疾患を有さない患者のアウトカムと比較した。
全患者が固形がんと診断されており、がん治療前に心不全、虚血性心疾患、不整脈に罹患していた患者はいなかった。
治療後10年間において、CHIP患者では心不全(20.3%対14.5%)および虚血性心血管疾患(25.3%対18.5%)の発生率が有意に高かった。
より強力な化学療法を受けた患者では、その影響がさらに増幅した。
「がん患者ではCHIPを頻繁に検出するが、従来はこれを治療上重要な所見とは考えていなかった。これらの患者は心臓病のリスクが高く、治療チームに心臓専門医を加えることで恩恵を受ける可能性が高いことが明らかになった」と、本研究の責任著者であるAlexander Bick氏(MD、PhD、医学部准教授、Edward Claiborne Stahlman Chair、Division of Genetic Medicine and Clinical Pharmacology部門長)は述べた。
患者は化学療法、放射線療法、免疫療法、またはそれらの組み合わせによる治療を受けた。
心血管疾患は、がんサバイバーにおけるがん以外の死因のトップを占める。
研究者らは、8,004例の患者データを分析し、そのうち549例にCHIPが確認された。
彼らの知る限り、本研究は、がん治療を受けた固形がん患者におけるCHIPと心血管疾患の関連性を評価したこれまでの研究の中で最大規模のものである。
CHIPを有さない患者と比較して、CHIPを有する患者は男性(54%対45%)、高血圧(78%対69%)が多かった。
本研究の臨床的意義は、がん治療前に患者をCHIP検査でスクリーニングし、リスクの層別化と心血管疾患モニタリングの個別化を行い、早期に腫瘍循環器学コンサルテーションを提供し、心保護戦略を検討することに価値があるかもしれない、ということである。
